22

 帯広と秀が仲が良いことを知って最初は避けていた人たちも、恭一や眞子のように、すぐにいつも通りになった。加えて、昼休みに教室にいたクラスメイトは、帯広に対する印象を変えた。
 放課後になり、一樹は秀の教室を訪れる。帯広のことがなかったかのようにいつも通りの教室。一樹は鞄を持ち隣へやってきた秀を見て呟いた。

「ほんとお前って、すごいやつだな」
「何が?」
「そういうとこ」
「え?」

 一樹は苦笑する。秀がやることは、わざとらしさがない。そうすることが当たり前であるかのようにやってのける。

「お前は今のままでいてくれよ」
「…? 良く分からないけど、分かった」
「分からないのに頷くな」

 おかしそうに一樹が笑うと、秀は目をぱちぱちとさせて、一樹と同じように笑う。

「一樹も、今のままでいてくれ」
「うーん…今のままか」

 一樹の真似をして秀が言うと、一樹は困ったように上を見上げる。秀は不安になって眉を下げた。何を言うつもりなのか、と聞き逃さないようにしている。

「……それは、無理かもな」
「なんでだ?」
「――お前のことが好きだから」

 秀の面倒を見るだけの、保護者のままではいられない。一樹はそう言って、秀には分からないだろうけどと思った。しかし、顔を下げて、秀の顔を見て――ずっこけた。

「なっ何で立ったまま寝てんだよ!?」

 廊下に一樹の叫び声が響く。
 気ままな猫と飼い主の関係は――これからも暫く変わることはなさそうだ。
















fin.

中途半端ですみません…!

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