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秀は最後の一口を喉に通すと、手を合わせた。
「ごちそうさまでした」
「え!? もう食べ終わったの!? しゅーちゃん早くない!?」
驚いた様子の恭一の机には、まだパンが山をつくっている。秀は目を瞬かせて首を傾げた。
「そうか?」
「そうだよ…え、俺が遅いのかな?」
あまりにもさらっと答えられるので、自分が遅いだけかと思いだす恭一。しかし時間を見て、あまり時間が経っていないことを確認すると、やっぱり秀が早いと口にする。
「一樹には何も言われたことないけどな」
「…ええ? 本当に?」
あの世話焼き男が何も言わないなんて、と不思議がる恭一。そして、自分のパンを一つ手に取った。
「俺のパン、要る?」
「いや、これ以上入らない。…ありがとう、気持ちだけ貰っとく」
秀はにこりと笑う。その笑みに恭一は顔を赤くし、うううと唸って自身の胸を押さえた。秀はそんな恭一に気付かず、立ち上がる。はっとした恭一が慌てて秀を引き留める。
「しゅーちゃん、どこいくの!?」
「ちょっと食後の運動」
「食後の運動!?」
そんなことしているのかと恭一が訊ねると、時々という答えが返ってきた。恭一が呆然としている間に、行ってくると言葉と恭一を残して、教室を出て行ってしまった。
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