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「遼先輩!?」
驚いて声が裏返る星矢が、目を見開いて俺を見上げてくる。女を睨むように見れば、俺たちの近すぎる距離に困惑し、顔を見合わせている。
俺はにっこりと笑う。そして星矢を更に抱き寄せながら、言ってやった。
「こいつ、俺のなんで」
暫し固まる女。星矢もあんぐりと口を開けたままだ。こいつ可愛いなと思いながら星矢を解放し、手首を掴んで歩き出す。後ろで叫び声が聞こえて、俺は声を上げて笑った。
数分後、俺は星矢に怒られていた。
「何考えてんですか!」
「ああしないとしつこいだろ、あいつら」
「そうかもしれないですけど!」
星矢は顔を赤くして俺を睨む。顔を近づけると、顔に手のひらがべたっと貼り付いた。
「何すんだよ」
「そっちが何してんですか!」
「お前がそんな顔して見てくるから、キスしたくなんだよ」
学園内ならできるのに。やっぱりこういうところに来るのは時々でいいなと考える。堂々とできないし、女がウザい。
「もう帰らねえ?」
「もういいんですか?」
「お前女に絡まれるから腹立つんだよ」
「……え? 俺?」
星矢は目を細めて俺を見てくる。なんだ、その目は。
「遼先輩の方がモテてるじゃないですか! さっきだって…」
むすっとして言われた言葉に、思わずにやける。
「へえ?」
「あっ、や、今のは…っ」
かあっと顔を赤くしてきょろきょろと視線を漂わせる。俺がさっき嫉妬したように、星矢もしてくれていたのか。
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