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 俺が全額払っていいか一応訊ねてみると、星矢は自分の分は自分で払うと言うので、俺も自分の分だけ払うこととした。俺はどちらでも構わないが、星矢がそうしたいのであれば従うだけだ。

「本当に何も食べなくて良かったんですか?」

 店を出ると星矢が眉をちょっと下げて訊ねてくる。

「ああ、大丈夫だ」

 笑って答えると、安心したように微笑む星矢。俺は触り心地のいい髪をひと撫でして、次はどこへ行くか周りを見回す。ちょうど案内板があったので近づいて地下から見ていった。隣で同じように星矢が見ていると、不意に、あ、と口にした。

「どうした?」
「いや、アクセサリーとか、見たいなって」
「アクセサリー? えーと、三階か」

 いいですか? と訊ねてくる星矢に勿論頷く。俺もちょっと見たいしな。まあそういう類のものをつけるのは好きじゃないので買うわけじゃないが。
 星矢はそういうのが好きなんだろうか? 確かに学園ではチャラ男を演じてジャラジャラとつけているけど。もしかしたらそれ用のものを新調するのかもしれない。
 俺たちはエスカレーターに乗って、三階のアクセサリーショップへ向かった。

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