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 少し休憩して、俺たちは色々な店を見て回ることにした。

「お前、欲しいものあったら言えよ」
「言ったら買うじゃないですか、先輩」

 じろりと横目で睨むと、遼先輩がにやりと笑う。それならと、俺も笑い返しながら口を開く。

「じゃあ、遼先輩も言ってくださいね」

 一瞬きょとんとした遼先輩は、声を上げて笑うと、俺の髪を掻き混ぜた。

「お前のことだから、高いもの買いそうだとか思ってそうだけど、別に買わねえからな」
「え? …本当ですか?」
「嫌いだろ、そういうの」

 俺のことを良く分かっているようで。俺は遼先輩の言葉に頷く。気が楽になった。ということで。

「じゃあ俺、何か飲みたいです」

 近くのカフェを指差した。








 お洒落で可愛らしいカフェだからか、周りはカップルか女の子しかいなかった。いや、一応俺たちもカップルだけど。
 店内の女の子は俺たちを見てきゃあきゃあと黄色い声を上げる。っておい、彼氏が泣きそうになってるぞ。

「星矢、お前は何にする?」

 遼先輩は可愛らしい店内も、注目してくる女の子たちも全く気にしないようだ。メニューを広げる遼先輩に顔を近づけて、イチゴパフェのセットを指差した。

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