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「体が痛ぇ。座席固すぎんだろ」
バスに乗る事数十分。バスを降りた遼先輩は開口一番に文句を言った。
「あれはいずれ改善しないといけねえな」
「そこまでしなくても…」
「いーや、うちの学園のお坊ちゃんどもが乗ってみろ、特に親衛隊の奴ら。絶対クレーマーになるぞ」
お坊ちゃんどもって…遼先輩もそうじゃないかと思いつつ、まあ、だからこそ
そういった意見が出て来るんだろうなと納得して頷く。
ぐっと背伸びをした遼先輩は、にっと俺に笑いかける。
「よし、行こうぜ」
「はい!」
俺はうききうきとしながら足を踏み出した――。
「あのぉ、おひとりですか?」
「良ければ、私たちと一緒に遊びませんか?」
……ちょっとトイレに行っただけで、これかよ。
ショッピングモールの一階。キラキラとした店が並ぶ中、遼先輩が一番輝いているように見えるのは惚れた欲目ではないだろう。それは、遼先輩に群がっている女の子たちが示している。
遼先輩は壁に背を預け、目を閉じたまま腕を組んでいる。流れている音楽に負けてないくらい騒がしいのに、凄いなと思う。……親衛隊の子たちも高い声とは言え、女の子の甲高い声には負ける…と思ったが、集会などでとんでもない数の人に騒がれているのでこれくらいなんともないのかもしれない。
…遼先輩は全く眼中にないみたいだけど。モヤモヤとしたものが胸に広がる。相手が女の子だからかもしれない。俺は、こんな公な場所でべたべたできないし……っていうか! 何好き勝手に触らせてるんだ!
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