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大きく頷くと、カナメは嫌そうに、ユウは嬉しそうにする。この二人って仲悪かったっけ、と疑うほどの変化だ。二人と仲良くなれて嬉しい――けど、ユウの表情が前と違いすぎて何か企んでるんじゃないかとちょっと不安でもある。いきなり態度を変えられたらどうしよう。これはユウに限らず、カナメやハヤト、そして仁にも言えることだけど。
「……あ」
俺は窓の外を見て声を上げる。俺の声に反応した二人が何だと目で訊ねてきた。
「……あ、ええと、二人は、好きな奴とかいる?」
早口に告げると、二人はぽかんと口を開けた。そして目をカッと見開くと赤面した。お、これはいる反応だ!
「な、何言ってんだよいきなり!?」
「そ、そうですよ」
確かに。いきなりすぎたな。俺はもう一度窓に視線を遣って、呟く。
「実は俺……恋をしてしまったんだ」
沈黙が訪れる。カナメが手に持っていたパンを落とした。べしゃっと音が鳴る。
「はああああ!?」
な、なんでそんなに驚く?
カナメは俺にぐっと顔を寄せて誰だ、と唸るように言う。俺は照れながら言った。
「ミヤコさん…」
「み、みやこぉ!? ど、どこのどいつだよ!」
「クラスメイト…とかですか?」
「猫」
へらっと笑って窓の外を指差せば、黒猫が日向ぼっこをしている。ああ、可愛い! この学校で一番可愛い! ちなみに俺がミヤコと名前を付けた。
ミヤコさんの魅力を力強く語っていると、頭をべしんと叩かれた。衝撃は二回。カナメだけじゃなくて何故かユウまで俺に暴力を振るってきた。しかし顔は何故かほっとしている。何で俺の頭を叩いてその顔なんだ。
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