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 あの後週末に遊びに行くことになったのだが、結局俺、仁、カナメ、ハヤト、ユウの五人で遊びに行った。そこでも喧嘩ばかりしていたが、途中で帰ることなく、長い時間一緒にいたということは、本当は皆仲が良いんじゃないかな、とか思う。カナメたちは否定しそうだけど。
 そして、俺はといえば。あれだけ邪険にされていた俺が、なんと、慕ってもらえるようになったのだ! 親友にはなめられるから、と散々言われ続けたけど、なんだ、そんなことないじゃんか。と俺は安心した。親友に報告したいんだけど、何故かいきなり海外行くとか言って飛び立っていった。それから連絡はない。悲しい。あいつ本当に親友なのかな。

「おい、ナオ」

 わざわざ俺の教室まで来てくれたらしいカナメ。親友がいない俺は、ぼっちなのだ。だからカナメが来てくれるのが凄く嬉しい。

「カナメ!」
「お前、今日も一緒に食うだろ?」
「勿論!」

 よし、と笑うカナメ。俺に向けて笑うことも多くなったし、優しくなった。だけど。
 カナメが頭を撫でる。……うーん、この扱いはなくならないんだよな。俺が女の子だったらまだ嬉しいだろうけど、男が男に撫でられるって……あれ、これ視界の暴力なんじゃないか?

「ユウも?」
「……俺と二人じゃ嫌なのかよ?」
「………カナメさん、僕と一緒じゃ嫌なんですかね?」

 ぎくりとカナメの肩が強張る。ユウが目を細めて笑っている。なんだ、ユウがいないのかと思ったが、いるんじゃないか。

「…チッ、はえーな…」
「総長、僕も一緒していいですよね?」

 ユウがカナメから視線を外し、俺に笑いかける。さきほどの笑みより優しさが増した。

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