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 あの後挙動不審なカナメが良く分からないことをぎゃーぎゃーと言って、出て行ってしまった。結局何をしにきたのか分からない。あの中でだったら扱いやすそうなのは確実だけど、扱いやすいか扱いにくいかと言われたら扱いにくいな。……カナメのせいで、皆から更に恐れられるようになってしまったし。もう教室に来ないで欲しい。
 だけど、昼休み。奴はやってきた。

「……どうも」
「ど、どうも」

 ぶすっとした顔をしたユウを引き連れて。物凄い嫌そうな顔してるよ。何で連れてきてしまったんだ…。

「お前、昼は」
「……売店で買う予定だけど」
「じゃあ行くぞ」

 ……え、行くぞって何。まさか一緒に食べるってこと? 俺は顔を引き攣らせてユウを見る。ユウはなおも不機嫌な顔をしているが、何も口出してこない。…カナメに逆らえないんだろうなあ。俺にはどんどん反発してくるけど!
 カナメが早くしろと目で脅してくるので、俺は嫌々ながら立ち上がる。財布を持って、さあ売店へ!
 売店まで、勿論会話はなかった。











 こんなに胃が痛い昼飯は初めてだ。でも、ちょっとは話をした。ユウは一年生だとか、カナメとは同級生で、二クラス離れているとか。…学校で会わなかったのが不思議なんだけど。まあ、サボってたとか、そんなんだろうな。俺も良くサボるし。
 あと、スマホもチェックされた。仁と連絡を取ってないか、って。良かった、取らなくて…とほっとする。でもスマホをじっと見つめたカナメが鼻で笑う。

「お前、マジでダチ少ねえんだな」

 グサッ。鋭利な刃物みたいな言葉が胸に刺さる。何で勝手にそんなとこまでチェックしてるんだと抗議したけど無視された。カナメが俺を一瞥すると、カチカチとなにかを操作してぽいっと俺にスマホを投げる。俺は慌てて受け取り、カナメを窺う。

「仕方ねえから、追加しといたから。俺の」



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