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「確かに…」

 ぼそっと呟かれた言葉が耳に入る。周りを見るとうんうんと頷いている奴もいた。俺を見張りたい奴なんていないだろうと言ったユウは呆然としている。

「な、いいだろ、カナメ」

 笑ってカナメに視線を遣る。その顔はなんだか挑戦的だった。カナメは不機嫌になっている。

「…見張りが一人だと、見張り切れないだろ」

 冷静にそう返すカナメは目を瞬いた。

「ああ、そうだ。四六時中は無理だとしても……学校とかは? ナオと同じ学校っつー奴いる?」
「…総長の学校が分かんないっす」
「俺も知らねーや。ナオ、どこ?」

 ええ…学校でまで見張られたくないな…と思いながらも、ハヤトの視線に耐え切れず、渋々高校の名前を口にする。

「南橋…」
「は!? 南高!?」
「ええ!?」

 叫んだのはカナメとユウだ。まさか、二人と一緒だというのか? 何でこの二人なんだよ。もっと下っ端でほとんど関わりない奴だったら良かったのに。

「お前ら南校なわけ?」
「まあ、一応」
「ふーん、じゃあ学校では二人が見張るってことで」
「え!?」

 「嫌ですよ、僕は!」ユウが必死に訴えていたが、ハヤトははいはいと軽く流す。カナメはカナメで仕方ないなとかなんとか呟いている。

「じゃあ一週間くらい様子見ってことで」

 ハヤトはそう告げると、一番先に溜まり場から去って行った。そしてまた一人、また一人といなくなり、俺、カナメ、そしてユウだけが残った。ユウは俺を睨むと、どすどすと足音を立てて去っていく。そしてカナメは――俺の頭を叩いた。

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