18

 やっぱりまだ嫌われているんだ…とショックを受けて両手で顔を覆う。

「おい…」

 どこか戸惑った声でカナメが話しかけてきた時だった。ドアが突然開いた音がした。

「カナメ、一体なんだよ、呼び出して」

 心臓が一瞬止まる。俺は手で顔を覆ったまま固まる。今の声は――ハヤトだ。そのほかにも声が聞こえる。もう呼んでたの…!? 俺まったく心の準備できてないんですが!

「…!? なんで、そいつがそこに…!」
「え、つーか何やってんの…?」

 動揺と困惑が伝わってくる。視線が俺に突き刺さった。緊張で手汗が…。

「ナオが話して―ことがあるんだってよ、なあ?」

 なっ! こ、こいつ……! 俺は手を離してカナメを睨む。カナメはニヤニヤと意地の悪い顔で俺を眺めていた。

「はあ? 総長が?」
「つっても、話さねーじゃん、そいつ」

 訝しげな声。皆は探るような目でこっちを見ている。カナメは口を閉ざし、何かを言う様子は見られない。え、ええ…! まじかよ! 何をどういう風に言えばいいんだ!?

「え、ええと…」

 息を決して喋る。瞬間、どよめきが広がった。

「しゃ、喋った…!?」

 っておい! 某ファストフードの昔のCMかよ! そしてカナメは何でそんなにドヤ顔をしてるんだ!?


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