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「つーか何で仲良くなってんだよ、テメェらは」
……なんでだろう。良く分からないけど、気がついたら仲良くなっていた。誤魔化すように笑ってみると、もうカナメは何も反応しなかった。何だか疲れている。
「まさかこんなにアホだとは…」
ぼそっと呟くカナメ。おおい、聞こえてるぞ。こんなにアホって、別に俺はそんなにアホじゃないから。どんなイメージ持ってたか知らないけど…。
っていうか。
「あの、俺ってこれからどうしたら…」
「ああ…? ……そうだな、まずは皆に知らせねえと」
「知らせ……え、何を?」
「何をって、全部に決まってんだろうが」
何馬鹿な事言ってんだ、みたいな顔で俺を見てくる。俺は両頬に手の平を当てた。ぎょっとしたようにカナメが目を見開く。
「な、何だムンクの叫びみたいな顔して」
えっムンクの叫び!? いやそんなことは今どうでもいい!
「ぜ、全部って、俺が喋らなかったこととかも…」
「当たり前だろ」
「ででででも、んなことしたら俺きっとなめられ…!」
「仲間内だけにしときゃいいだろ」
「敵は外だけじゃないんだぞ!」
ちょっとなんかのアニメとかでありそうなセリフだなと思って嬉しくなっていたら、カナメが気味の悪そうな顔で何だその顔は…と呟いた。
「……ま、そんときは、俺が守ってやらなくもない」
「えっ?」
何か今とんでもないこと聞こえたんだけど遂に俺の耳おかしくなったか?
ぽかんと口を開けて真正面を見つめる。何だか顔が赤くなっているような……まさか、照れてる? そのままじろじろ見ていると、頭を叩かれた。あっあぶねえ! 舌噛むところだった!
「何するんだ!? あ、いや待って、今さっき何て言った?」
「は? なんも言ってねえよ死ね」
「死ね!?」
……え、本当に俺の幻聴? カナメに限って、俺にそんなこと言うはずないし…でも、あの顔は…? だめだ、わけがわからないぞ。
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