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 何から話せばいいんだろうか。うんうんと悩んでいると、痺れを切らしたのかカナメが苛立ったように言った。

「まず、何で喋らなかったかを話せ」
「それは…喋るな、って言われたから…」
「は? 言ってねえよ」
「いや、俺の友達が」

 友達と言った瞬間、ぴくりとカナメの眉が動く。嘘だと思われてるんだろうか? お前友達いねーだろって。い、いや、嘘じゃないぞ。…仁も合わせて二人だけど。

「……なんで、ダチがんなこと言う」
「それは……」

 なめられるからです、って自分で言うの悲しいな…。でも、誤魔化せないし。俺嘘が下手らしいし。
 ぼそぼそとなめられるから、と呟くと、聞こえなかったらしく、ああ!? とキレ気味で返された。

「俺が喋るとなめられるからです!」
「……、ああ…」

 しんと静まる。……その納得したような声は一体なんですか、カナメさん…。

「だからって、俺らの前でまで黙ってなくて良かったんじゃねーの」
「え、も、もしかして喋って欲しかったとか…」
「は!? ちげーよ馬鹿! ぶっ殺すぞ!」
「ひ!? ごめんなさい!」

 急いで謝ると、カナメが息をのむ。そして、溜息を吐いた。

「…調子狂う…」

 なんだか脱力してソファに背中を預けている。こんなカナメを見るのは初めてだ。何だか気分が良くてふっと笑うと睨まれた。

「……で、ジンは?」
「ああ、えっと、独り言の途中でなんか突然来て」
「は、ここに?」
「まあ…」

 カナメが眉を寄せ、何かを考えるように口に手を当てた。

「あいつ…何を考えてんだ?」

 思考の邪魔にならないように黙っていたら、カナメが舌打ちをした。


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