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 とりあえずナオに色々訊かなければいけない。俺はナオに選択肢を与えた。このまま裏切り者としてチームを抜けるか、俺と来るか。じろりと睨めば、ナオは力強い目で俺を見て――こっちへ来た。当然だな。こいつは一応総長なんだ。それに、こいつがどれだけバカだろうが、抜けたらどうなるかなんて分かってるだろう。まあ、断っていたら力ずくで連れて行ったけど。
 そんなことを思っていたら、ナオがジンの野郎と目を合わせていた。アイコンタクト――俺は心の中で舌打ちをしてナオの腕を衝動的に掴む。掴んだらもう勢いに任せるしかなくて、俺は自分の方に引っ張った。背中が俺に当たる。すぐに体制を戻したためすぐに重みがなくなる。

「ふん、こいつはテメェより俺の方がいいみたいだな」

 どうだ、と勝ち誇って言えば、ジンは面倒そうな顔で俺をあしらうような返事をしてきやがった。腹立つがいい。さっさと溜まり場に行って――。

「じゃあ俺帰るわ。またな、直人」

 直人……ナオ? 本名は直人っつーのか。へえ、と思いながらナオを見ると、ぶんぶんと大きく手を振っていた。ない耳と尻尾が見える。俺は無言でナオの頭を叩いた。振り向いたナオはアホ面で、俺はムカついてアホ面すんなと言うと、ナオが俺を睨んできた。そこにアホ面はまったくなくて、俺に向けられるのはやっぱりこれなんだと何だか虚しくなった。
 俺は背を向けると、歩き出した。向かうのは、溜まり場だ。




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