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 小学生レベルの発言に固まる。

「…え、は……っ?」

 自分でも分かるくらい動揺した声。その時はっとした顔とナオと目が合い、慌ててナオがジンの背中に隠れた。その瞬間胸がざわついた。言いようのない苛立ちを感じ、気がついたら叫んでいた。

「な…なんでそいつには口利くんだよ……!?」
「そこかよ」

 いや、そこかよって俺にとってはこれは重要なことだ。つっこみたいのはこれだけじゃないけど。

「……ま、俺と話すのはあれだな、オトモダチってやつだから。なあ、ナオ」

 ジンが振り向いてナオに話しかける。ナオは途端に顔を綻ばせて力強く頷いた。再びこっちを向いたジンの顔はこっちを見下しきっているものだった。それも腹立つが、何よりナオの顔に一瞬だけどきっとした自分に腹が立つ。

「ふ…ふざけんなよ。チームの奴とは仲良くする気がねえってことか!?」

 感情に任せて叫ぶと、ナオの顔が一瞬にして歪む。こっちに一歩近づいてきて、俺は驚いて一歩後退った。 

「ふざけんなはこっちの台詞だ! 仲良くする気がないのはそっそっちだろこのバカアホ!」
「ば、バカアホ…?」

 …こいつは本当にナオなのか? さっきのガキみたいな仕草と発言……そしてこのちょっとバカっぽい喋り方。もしかして、もともとこういう性格なのか…?
 ジンを見ると、呆れた顔をしている。こいつは、ナオがこういう奴だったって知っていたっつーことか…?


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