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「いてーな何すんだよ!」
「喋んなよこのアホ!」
「アホって言った奴がアホなんだよバーカ!」
仁はだめだこいつといった目で俺を見るとちらりとカナメを一瞥する。俺は漸く仁が黙れと言った理由を理解し、慌てて口を閉ざした。今更だけど! もしかしたら聞こえてないかもしれない。
「…え、は……っ?」
げっ! ばっちり聞こえていたみたいだ。俺はこそこそと仁の背中に隠れる。仁が溜息を吐いた。しかも深い。俺のこと呆れてるんだろうなあ。友達止めるとか言わないよな…?
「な…なんでそいつには口利くんだよ……!?」
「そこかよ」
おい、仁。そこかよ、とはどういう意味だ。
「……ま、俺と話すのはあれだな、オトモダチってやつだから。なあ、ナオ」
仁が振り返り、同意を求めてくる。にやりとして何かを企んでいそうな顔だ。俺は友達という単語にうきうきとしながら頷いた。すると、カナメがなぜかショックを受けたような顔をする。対して仁は勝ち誇ったような顔。なんだ。今何が行われているんだ。俺だけちょっとついていけていない。
「ふ…ふざけんなよ。チームの奴とは仲良くする気がねえってことか!?」
俺はその言葉にむっとする。仁を押しのけて、カナメに一歩近づいた。カナメは一瞬だけ怯んだ様子を見せる。
「おい、ナオ――」
「ふざけんなはこっちの台詞だ! 仲良くする気がないのはそっそっちだろこのバカアホ!」
カナメはぽかんと口を開く。俺の前でこんなに隙を見せたのは初めてで、俺はちょっとだけ嬉しくなる。
「ば、バカアホ…?」
カナメの口が引き攣る。信じられないものでも見るような目をこっちに向けてきた。
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