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やべえ、と思って黙る。すると、ジンは急に黙った俺を訝しげな顔で見てきた。
「……なんなんだよ、お前は……。つーか今日集会って情報手に入れたから来たのにナオ以外誰もいねえし。俺騙されたか?」
ざくっ。俺の胸にジンの言葉が刺さる。じわりとまた涙が出てきてごしごしと服で涙を拭った。
「お、おい。擦るなって」
ぎょっとしたジンが俺の腕を掴む。放せと睨むと、若干高い位置にある顔が動揺に染まる。そして何故かぶんぶんと頭を振った。何事だ。何でちょっと顔が赤いんだ。
「……擦るから目が赤くなってる」
どうやら目が赤くなってるらしかった。そんなこと今どうでもいい。もう用事がないなら帰って欲しい。ていうか、何の用だったんだろう。誰か知り合いが…? いやでも、仲が悪いはずだし……。ま、まさか、殴りこみ……!?
俺は恐怖でかちこちに固まる。俺、自慢じゃないけど喧嘩できないんだ……。黙ってるとそこそこ強く見えるからって言われて。そもそも喧嘩したことない。
「……もしかしてお前ハブられてる?」
ななななな何でバレた。俺の動揺を見て、ジンが図星かよと呟く。その顔は同情を含んでいた。
「総長がハブられてるなんて初めて聞いたぞ。……総長なんて辞めちまえば? ハブるような最低な奴らなんて放置でいいだろ」
「だっ駄目だ!」
「はあ? 何で」
「おっ俺が嫌われてるだけで、皆本当は良い奴らなんだ! 多分……。総長がもっと格好良くて強い奴だったら尊敬されてたんだ! 多分……」
「お前最後で自信なくすなよ…」
だって優しくされたことも尊敬されたこともないし……。
「ま、お前が総長でいたいっつうならいいよ。あと俺の前ではもっと喋れよ、面白いから」
「お、面白い?」
「アホで面白い」
「あっアホって言うな!」
きーっと威嚇すると、ジンは声を上げて笑った。こいつ馬鹿にして!
……でも、嬉しかった。面白いと言ってもらえて。笑ってくれて。久しぶりに触れるやさしさに俺は不覚にも泣きそうになったのだ。
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