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 食事も終わり、あまり長居するのも時間がもったいないということで、会計を済ませることに。伝票を持った城野に続くと、女の子に声をかけられた。化粧が濃く、茶髪で付け爪をしている――所謂ギャルだ。

「あのお、この後、お暇ならご一緒しませんかあ? 私たちも帰るんでー」
「え? えーと…ごめん、ちょっと俺ら用事があって」

 ははは、と愛想笑いを浮かべる。ちらりと見ると、城野はもう行ってしまっていた。えええ、どうしよう。困っていると、袖をくいっと引っ張られ、俺は女の子に視線を戻した。

「ねえ〜」

 面倒なことになった。普通だったらすぐに諦めるのに、何でこんなに食い下がってくるんだ。ていうか、誰か助けて。と周囲に視線を遣るけど、皆好奇の目でこっちを見て来るだけだった。

「いや、ちょっと……」
「いいじゃん、別に。うちらが誘ってんだからさあ」

 ……イラッ。うちらが誘ってんだから、って、だからなんなんだ。いい加減にしろと口に出しそうになった時。ぐいっと後ろに引っ張られた。

「悪いな、こいつは今、俺とデート中なんで」

 言われた瞬間顔を近づけられ、ふっと笑われる。息が口にかかり、熱がぶわっと顔に集まる。

「ええっ…!?」
「そういうことで。ほら、行くぞ」

 な、なななななな。
 唖然とする俺と女の子たち。俺たちはそのままファミレスの外に出た。風が顔に当たり、我に返る。

「なっ、何して……!?」
「困ってただろ」
「いや、困ってたけど…あれ!? っていうか会計は!? 無銭飲食!?」
「ああ、お前が女に絡まれてた時に済ませたぞ」

 慌てて財布を出そうとした俺を手で制す。「金はいらねえよ」別に奢ってもらわなくて良かったけど、良いって言ってるのに出すのもあれだろう。俺は財布を仕舞った。

「…ありがとうございます、ごちでした」
「おう」

 にいっと笑う城野に恥ずかしくなって、視線を逸らした。

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