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翌日。俺は安易に頷いてしまったのを後悔していた。
「ねえねえ、城野先輩と森くんだよ…!」
「かっこいい……!」
イン食堂。ウィズ城野。俺と城野は向かい合わせに座って、昼食を摂っていた。いやあ、それはもう目立つ目立つ。自分で言うのもなんだけど俺イケメンだし、城野はそこらへんのアイドル顔負けの美形だ。おまけにオーラが凄いのなんの。そりゃ目立つわな。
……で、きゃあきゃあと女の子に騒がれてる俺たちなんだけど。俺はじっとりと目の間の美形を睨みつける。
「ん? なんだ、俺に惚れたか?」
「キャー!」
ギャー!
俺の心の悲鳴と周りの悲鳴が重なる。お前がそんなんだから…! そんなんだから……!
「見て見て! 城野くんの顔! あんなに優しそうな顔初めて見たよ!」
「森くんと城野先輩ってもしかして……!?」
こんなこと言われるんだよ!
いや確かに。変なことはするなとは言ったけど変なことを言うなとは言っていない。だけど分かってくれ、それも変なことをするな、というのに含まれているということを。
っていうか、きゃあきゃあと言っている女の子たちって、もしや今や有名な腐った女の子、腐女子という方々では…!? ぞわ、と背筋が震える。
「ちょっとお、城野先輩」
口に唐揚げを含んだ城野が咀嚼しながら目で何だと問うてくる。周りの女の子たちも何だと聞き耳を立てている。……喋りにくい!
「そういう冗談はやめてくださいってー」
ごっくんと飲み込んだ城野が口を開こうとするのをぎろっと睨みつける。小さく人差し指でバツ印を作れば、チッと舌打ちした。俺がこういう動きをしたら、一週間の期間経ってなくても関係を解消すると言ってあるのだ。
周りであきらかに落胆する声。
「なんだあ、冗談かあ」
「そういう冗談言うんだ、意外ー」
ほっと胸を撫で下ろす。しかし次の瞬間。
「でも、あの顔は冗談に見えないんだけどなあ」
ぎくっ。腐女子(仮)こええええ!
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