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俺のことで悩んでいるのがおかしくて笑うと、城野が何だよという顔で見てくる。
「別に昼休み、いいですよ」
「……いいのか?」
「いいですけど。むしろ昼休みだけでいいなら」
もっと要求されるかと思った。だから昼休みくらいなら別にいい。
「でも、人前で変なことすんのやめてくださいよ」
「変なこと? 変なことねえ」
城野がにやりと笑みを浮かべる。うわ、嫌な予感がすると思って身を引こうとするけど、少しだけ遅かった。俺の顎をくいっと上げて顔を近づけてくる。
「こういうこととか…?」
耳にふっと息がかかって、ぞわりと背筋が震える。くく、という低い笑い声が耳元で響いた。
「なんだ、耳弱いのか」
「ちっ、ちが……!」
顔が熱くなって、同時に恥ずかしくなって思わず手が出た。あ、と思った時には拳が城野の頭に落ちていて、いてっという声が耳元で聞こえた。
「くっ」
「ああ?」
「くっ、くすぐったいんすよっ! べ、別に耳が弱いとか、そんなんじゃなくてっ!」
ついでにぽこぽこと頭を叩いて文句を投げつけると、反応がなかった。やべえ流石に怒ったかと不安になって手を止めると、がしっと手を掴まれた。
「ひえっ!?」
驚いて変な声が出る。体を離した城野は呆然とした顔で俺を見ていた。な、何? 変なところ殴っておかしくなっちゃった?
「お前って……かわいいやつだな」
「は?」
「うん、くすぐったいってことにしておくわ。つーことで、まあ一週間宜しくな」
「はあ…」
くすぐったいことにしておくって何だよ。本当にくすぐったかっただけだし! という言葉は飲み込んで、俺は気が乗らないのが丸わかりな返事をした。
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