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「……おい、何だその顔は」
城野が目を細めて俺を睨む。俺の白い目に反応したらしかった。
「いーえ、何も」
「は? キスすんぞ」
「やめてください」
俺は距離をとった。こいつは本当にやりかねない。「冗談だって」城野はそう言って笑うが、冗談か本気か、分かりにくいんだよと言ってやりたい。しかし俺は大人だ。いちいち突っ込んだりはしない。
「まあ会えない日もあるからな。お前もそこが気になるみたいだし」
どうして分かったんだと俺が目を見開くと、城野は分かりやすいんだよと口角を上げる。
俺、分かりやすいのか…? 昔付き合ってた女の子に何考えてるのか分かんないって言われたけどなあ。
「お前昼飯はどうはしてる?」
「え、えーと、友達と一緒に食べてますけどぉ?」
「食堂か?」
「まあ時々」
ふむ、と考えるように顎に手を当てる。そんなことを訊くということは、一緒に食べようということだろうか。だけど、城野は考え込んでいるだけで何も言ってこない。痺れを切らした俺は口を開く。
「お昼御飯を一緒に食べればいいんですか?」
「お昼御飯って言い方いいな」
「は? 普通でしょ……ってそうじゃなくて」
言い方とかどうでもいい。ていうか何がいいのか分からない。頭が痛くなってきた。俺はそっとこめかみを押さえる。
「いや、昼飯を一緒に食おう…と思ったんだけど、放課後の時間も奪って友達とあんまり遊べてないだろうし、昼休みの時間も奪うのはなって」
俺は城野の口から出てきた言葉に目を丸くする。そんなことを気にするなんて意外だ。
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