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生徒会室に着いて、仕事をすること数時間。今日はやることが少なく、いつもより早く終わった。慣れてきたっていうのもあると思う。支持を待つより、自分から動くことが多くなった。
「森くん、帰ろう」
かなちゃんが鞄を肩にかけ、俺に微笑みかける。そう、なんとなんと俺とかなちゃんは一緒に帰っているのだ! へへん、羨ましいだろ! ……まあ、途中のバス停までだけど。一緒に帰っていると胸を張って言える距離じゃないけど。
笑顔で答えようとして、俺は城野を一瞥する。帰る気配はない。まだ仕事をやるつもりなんだ
ろうか。……そういえば。結局、好みの女の子聞いてないな、とぼんやり思う。あの時興味ない、みたいな反応をしてしまったけど、ちょっと、いや、だいぶ気になる。
「森くん?」
でも、訊いたら絶対調子乗るよな。いやでも。という思いが頭を占める。
「かなちゃん、かえ――」
「おい馬鹿面」
「……なんすかあ?」
「お前は残れ」
「は…」
な、何で俺だけ。口を開けて固まる俺をよそに、かなちゃんと城野が話を続ける。「私も何かしましょうか?」「佐代は帰っていい。つーかあいつだけ残ればいい」
「分かりました」
分かっちゃうんかい!
俺はかなちゃんが考えていることが分かるぞ…。やっぱり城野先輩、森くんのこと気に入ってるんだなあ、みたいなことだ! 生暖かい目が語っている!
「じゃあ陽菜ちゃん、一緒に帰ろう」
「はぁーい」
ああ、俺も帰りたい…。二人に挟まれて帰りたい…。顔を覆う俺の肩にぽん、と手が乗った。手を離して手の主を見ると、月島先輩がにっこりと微笑んだ。わあ、いい笑顔。
「頑張ってね」
やっぱり残ってくれないわけだな。俺は小さく頷いて、うす、と口にする。ちらりと城野を見ると、ニヤア、とあくどい笑みを浮かべた。殴りたい。
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