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更に数日が経った。役員になったばかりのあの空気の悪さは一体どこへ消えたんだというくらい和やかな生徒会室。俺と二人の時のように饒舌ではないけど、少しは雰囲気が柔らかくなった。いや、うん。確かに俺は城野にいい加減にしろと言った。だけど!
「おい、バカ面」
「……なんすかあ」
「そこの書類渡せ」
つ、と長い指が近くの机に乗った書類を指差す。…自分でとれや! しかもバカ面って失礼だな! そのバカ面が好みとか言ったのは誰だ……やめようこの話は。俺が辛くなる。
「はいどーぞ」
「おう」
おうじゃねーよ。ありがとうだろ。むっとすると、城野は意地悪な笑みを浮かべた。
「あ、あれも取って」
「……はーい」
まとめて言うか自分で取って欲しい。俺は溜息を吐きたくなるのをぐっと抑えて書類を手にすると、再び城野に手渡した。勿論お礼はなし。
このように必要なこと以外は黙々と仕事をやっていた城野だけど、あの一件からそれ以外のことも言うようになった。といっても雑談とかじゃなくて、今さっきみたいなあれ取ってこれ取ってみたいなものだ。
「――文字は、もうちょっと下に書け。それじゃコピーした時に写らない」
「え、あ…」
指摘され、俺ははっとする。まだ書き始めたばっかりのそれ。完成してから言われたらやり直さなければならないところだった。
奴が発するのは、先程挙げたもののほかに、こういった仕事に関するものもある。以前も仕事の話はしていたけど、本当に素っ気ないものだった。自分から関わろうとしていることにかなちゃんたちは喜んでいる。……でも、でもだ。城野が関わってくるのは主に俺なんだよ……! でもやっぱり黙っててとは言えないし、かなちゃんたちを悲しませることもできない。つまり俺が耐えるしかないのだ。奴もそれを分かっている。俺をからかってるんだ。最悪だ。嫌いだ。
「…ありがとーございます」
……でも。俺がお礼を言った時に見せる、少しだけ優しい笑みは嫌いじゃない。
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