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 ――なんだ、その反応は?
 首を傾げると、尚志は眉を顰めた。一体どうしたというのだろう。あの言葉のどこに反応したんだ?

「お前、行くのか?」
「え」

 驚いて固まると、苛立ったように舌打ちをして、頬杖を付いた。

「合コン」
「ああ、まあ」

 なるほど、俺が合コンに行くのが珍しかったようだ。確かに、今まで誘われてきた合コンは全部断ってきたからな。高野から返って来たメールも、少し失礼なことが書いてあった。

「…まあ、お前なら顔も良いし、性格も悪くないし、直ぐに彼女できるんじゃね?」
「え、マジ? そう思う?」
「……ああ」

 うおおおぁああ! 尚志が俺の顔と性格を褒めるなんて! 珍しい、今の録音したかった!
 俺は喜びを押さえ切れなくて、満面の笑みを浮かべる。すると、何故かムッとしたような顔をして顔を逸らすと、小さく頷いた。
 ……どうしたんだろう。最近の尚志は、やっぱり少しおかしい。彼女さんと仲直りしたんなら、もっと前みたいに笑顔を浮かべてくれれば良いのに…。
 恋人が無理でも親友ポジションなら、と思ってあの時からずっと傍にいた。それでもまだ俺に相談しないということは、結構大きな悩み事のように思う。力になれたらいいんだけどな。あまりしつこくして嫌われたら元も子もないからやめとく。

「な――」
「おーい、尚志。彼女が呼んでるぞー」
「あ、ああ」

 何か言おうとした尚志にクラスメイトから声が掛かる。教室の入り口のところに彼女さんが少し恥じらいながら立っている。
 パチッと目が合い、軽く手を振ると、向こうも慌てて頭を下げてきた。

「悪い、行って来る」
「おー」

 俺は手を振って尚志を見送る。遠ざかる背中を見つめながら、小さく溜息を吐いた。
 尚志が彼女さんと並んで見るのも、久しぶりだ。嫉妬が渦巻きそうになって慌てて視線を逸らす。
 シャーペンを持ってくるくると回す。手が縺れてペンが落ちると同時にメールが着た。

『今週の日曜、午後一時に駅前のファミレスな』

「了解、っと」

 素早くそれだけ入力すると、送信する。駅前のファミレスは学校から離れているから、あまりこの学校の奴は行かないだろう。つまり、尚志にも会わないわけだ。あんなところで会ったら取り乱してしまいそうだから、安心した。

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