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 清水みたいな奴って、俺の経験上、裏表が激しいから完全に信用することはできないけど、とりあえず友達一人目ゲットだ。滑り出しは好調だ。…奴がいることは除いて。
 様子を窺うと、ばちっと目が合った。な、何でこっちを見てるんだよあいつ。相変わらず何考えてるか分からない顔しやがって。
 口を開けたまま見つめあっていると、清水が不思議そうに首を傾げた。

「鈴谷?」

 清水が俺の視線を追って振り返る。その瞬間、辛島がぱっと視線を逸らした。顔を戻した清水が更に不思議そうな顔をした。

「どうしたんだ?」
「いや…何でもない」

 俺は苦笑して首を振る。清水はそれ以上追及してくることはなく、俺たちはゲームの話で花を咲かせた。














「おい、面かせや」

 委員会決めなどが終わり、帰る用意をしている時。突然ガラの悪い男がやってきた。ひい、不良だ! と思っていると、その不良はなんと――辛島の方へ向かい、先程の言葉を告げた。
 辛島お前何やったんだ!? 俺は血の気が引いて行くのを感じた。相手はゴリラみたいな体型だ。細見な辛島が勝てるはずがない。

「は?」

 辛島ああああああ! は? じゃねーよおおおおお! 謝れ! とりあえず謝れ! 土下座しろ!
 俺は一人わたわたと体を動かすが、奴は微動だにしない。めちゃくちゃふてぶてしく座っている。不良はびきびきと青筋を立てた。あああああ、怒っていらっしゃる! いやそりゃ怒るわ!
 辛島が口を開いた。漸く謝罪の言葉を述べるかと安心した俺だったが。

「何でゴリラが学校にいるんだよ」

 辛島! お前ってやつは……! 確かにゴリラみたいだけど!


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