ヒマワリの種

見た目不良イケメン×チャラ男/犬猿の仲?












 小学生の頃、親の転勤の都合で何度も転校した。だから広く浅く人と付き合うことは得意で、誰とでも仲良くなれた。
 皆の前で自己紹介をし、示された席に座った俺の周りは何故か休みが多かった。その中で唯一左隣だけ、人が座っていた。今まで見た中で、一番可愛い子だった。つまりドストライクだった。俺は柄にもなく見惚れて、ちょっと声をかけるのですらドキドキした。
 俺は何を言うか頭の中で整理し、シミュレーションして口を開いた。

「君可愛いね! なんて名前なの?」
「死ね」











 後に、俺は奴が男だと知る。男に見惚れてしかも拒絶され、俺のプライドはずたずたに引き裂かされた。いや引き裂かれたというのは大袈裟だけど。
 あれから数年。俺は高校生になった。中学校は奴と同じだったが、漸くあいつと離れられる! と思った。自分で言うのも何だけど俺は頭が悪く、あいつは頭がいい。俺が行く底辺な高校にはまず来ない。

「……はずなのに何でいる!?」

 俺は震える指先で奴を指差した。女の子みたいにというか、女の子以上に可愛らしかった顔は年々男らしくなっていき、ぱっちりとした目は切れ長で睨まれているような鋭さがある。今では精悍で誰もが羨む容姿になっている。……で、なぜか黒かった髪が金髪になっていて、耳にはピアスまで付いている。この底辺な高校ではあちこちにいる姿だが、どうしてクールなイケメンから何で不良なイケメンになっている!? 何があったの!?
 奴は俺を一瞥しただけ。おいシカトかよ。

「しかも同じクラスって…悪夢だ…」
「あ? なんか文句あんの」

 うっ。見た目の所為で今まで以上に怖い。

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