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「隊長さんは良くても、他の人が…」
「一部の奴らは騒ぐだろうな。時間をかけて説得するつもりだが…」

 会長は一度口を閉じると、言いにくそうにして髪を掻いた。

「嫌な思いをさせる、かもしれない。いや、間違いなくさせるな」

 いつになく不安そうな会長を見て、手をぎゅっと握る。嫌な思いはしたくない。誰だってそうだ。でも、会長は説得すると言ってくれた。その気持ちが嬉しい。
 俺も説得できるならしたいが、火に油を注ぐようなものかもしれない。暫く待った方がいいだろうか。
 会長が手を握り返す。手の熱が伝わって来てくすりと笑うと、同時に会長も笑った。

「相変わらず、冷たい手だな」
「会長も相変わらず温かいですね」

 「いや、俺のは普通だ」呆れたように言ったあと、俺の頭を軽く叩く。

「つーか、名前」
「名前読んだら照れるじゃないですか」
「やかましい。ずっと呼ばれたら慣れる」

 確かにそうかもしれないが、照れなくなったらつまらない。あまり照れることのない会長だから、照れる要因を残しておきたいのだ。…なんて言ったら、怒るだろうな。
 苦笑していると、会長の顔が近づいてきて素早く俺の唇を奪っていった。突然のことにぽかんとすると、会長は不満げに俺を睨む。

「チッ、照れねえのかよ」
「い、いきなりだったもので…」
「じゃあもう一回するか?」
「結構です」
「却下」

 俺の言うことなんか無視して、今度はゆっくりと唇にキスをしてくる。少しして離れていった会長がにやりと笑う。
 俺は真っ赤な顔を押さえて会長の頭に拳を落とした。












fin.

月島くんを出す予定でしたが結局出て来ず…!

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