▼ おまけ2
会長視点/会長と会計/保健室→生徒会室
(side:貴志)
生徒会室に入ると、会計の荒田が机に伏していた。そっと近づき、覗き込む。耳を澄ませると、寝息が聞こえた。俺は口角を上げると、手を握った。それを振りかぶり――。
「いっっ! な、なに!?」
後頭部に思い切り叩きつけた。すると頭を押さえて勢いよく起き上がる。
「よく眠れたか」
腕を組んで見下ろせば、荒田は顔を上げ、げ、という顔をした。
「会長戻ってくんの早くない?」
「これでもゆっくり戻ってきたつもりだ」
溜息を吐き、もう一度荒田を殴ると、馬鹿になったらどうすると文句が飛んできた。無視だ。
自分のデスクに向かい、座ると横目であいつが今まで使っていたデスクを見る。
「島田くん、どうだった?」
荒田も心配していたのか、少し身を乗り出して確認してきた。俺が怪我はしたが無事だと答えると、ほっとしていた。
「それで、どうして会長はそんなに機嫌がいいのかな?」
からかい混じりの声。にやにやとしている顔。訊かなくても予想はついているのだろう。
「…島田と付き合うことになった」
「ふうん、良かったじゃん」
流したような答えだったが、荒田の顔は柔らかい。俺は照れくさくなって、ちょっと口を緩めた。
「じゃ、島田くんの無事も分かったことだし俺はこれで――」
「安心して仕事ができるな。ほれ」
逃げ出す前に荒田のデスクに書類を置く。荒田は、げげげ、と顔を顰めて諦めたように肩を落とした。
fin.
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