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会長は俺が座っている椅子よりちょっと立派な椅子――つまり先生用の椅子に腰を下ろす。我が物顔で座ってるけどいいのかな…。
「……ありがとうございます」
そう言えば礼を言っていなかった。む、と曲げていた口を元に戻して言うと、会長も真剣な表情になった。
「…遅くなって悪かったな」
「いえ…。あの、どうしてあそこが?」
「月島が連絡してくれてな」
「月島…あ、親衛隊隊長の?」
会長は頷く。周りには結構人が集まっていたし、あそこに親衛隊の人がいてもおかしくない。連絡を貰って慌てて俺のところへ向かったということを続けて言われた。
「あ、仕事」
「ああ? いいんだよんなことは」
そして溜息を吐くと、がしがしと髪を掻いた。俺は首を傾げてそれを見つめる。
「あー、つうか、今回ので完全に冷めたわ」
冷めた? 会長の言葉の意味が分からず更に首を傾げると、突然手首を引っ張られ、すっぽりと会長の胸に包まれた。
状況が理解できずかちこちに身を固める。
「あいつは…秀のことは、確かに気に入っていた。ああいう奴は俺の周りにいなかったからな。でもお前と出会って、あいつと離れてみたら、今までいいところだと思っていたところが悪く見えて…。お前と比べたら余計にな。今じゃ秀のことよりお前のことを考えてる方が多い。…この意味、分かるか、島田」
俺は答えられなかった。だって、それ、まるで…。
恐らく今、顔は真っ赤だろう。少しだけ体を離して俺の顔を覗き込んできた会長が、ふ、と笑った。
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