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 会長をじっと見つめると、動揺したように一度目を逸らし、再び視線を合わせた。

「…なんだよ?」
「風中先輩と仲いいんですか?」
「テメェ何を聞いてた!? どう考えても俺とあいつ仲良く見えねえだろ!」

 会長は腕を放すとべし、と俺の頭を叩く。頭を押さえながら風中先輩を見ると、嫌なものを見たような顔をしていた。

「島田……お前何でそう思ったんだ」
「会長の態度が俺の時と全然違うので…。思ったことをずばずば言える仲なのかなあと」
「逆だ逆! 態度が違うのも言えるのも仲が悪いからだ!」

 言われて、ああそうかと納得する。風中先輩もうんうんと頷いた。
 しかし風中先輩とならいい友好関係を築けるんじゃないかと思ったが、この様子じゃ無理そうだな。

「……つーかテメェはいつまでいやがるんだ。さっさと出てけ」
「仕事をちゃんとやっているか見に来ただけだからさと帰るつもりでいたさ。まさか島田がまだここにいると思っていなかった」

 あれからどれくらい経っただろう。休憩時間が長かったから、結構時間が経っているかもしれない。

「島田、あとどれくらいで終わるんだ」
「あ、多分そんなに時間はかからないと思います」
「そうか、なら待っているから一緒に食堂へ行かないか」

 あ。そういえば、腹減ったな。思い出したように腹が空腹を訴えて来る。そして、やる気にスイッチが入った。

「いいですね、行きたいです!」

 風中先輩は笑う。横で舌打ちの音が聞こえた。

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