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「あの…なんかすみません」
「その憐れみの顔止めろ」

 かける言葉がなくて謝ると、会長にじろりと睨まれた。あれ、でも…。俺は浮かんできた疑問をそのまま会長にぶつけた。

「役員の方は?」
「あいつらはダチっつーより、仕事仲間だ」

 そういうもんなんだろうか。俺は副会長の言葉を思い出し、あ、と声を漏らす。

「あ?」
「あ。いや…なんでも」

 友達ではないとしても、仕事仲間からあんなことを言われていただなんて言えず、口をもごもごさせる。ずい、と会長が顔を覗き込んできた。じっと見つめられ、視線を逸らした。多分、言うまでこの状況は続くだろう。俺は観念して、呟くように言った。

「副会長が…転入生に…」
「ああ…あいつか。俺の悪口でも秀に吹き込んだか」

 意外にけろっとした様子で言ってくるものだから、俺は驚いて目を見開いた。そんな俺の考えていることは御見通しのようで、会長は鼻で笑った。

「あいつはずっと俺のことライバル視してたからな。別に驚かねえし、今更悲しくなるなんてこともねえよ」
「そうなんですか?」

 確かにそんな風には見えない。まず会長が悲しんでるのもあまり想像できないけど…。


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