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 話と言うのは、本当に世間話のようなものだった。好きなものは何だとか、授業に付いていけているかとか、そういうもの。知ってどうするんだと思ったが、他に話題が思いつかないのかもしれない。

「…で、どうだ、もうここには慣れたのか」
「え? あ、はい。まあ」
「ダチとかいんのか」
「まあ、それなりに」

 頭に友人たちを思い浮かべながら答えると、会長はむ、と口を尖らせた。

「何だよいんのか、つまんねえな」
「つまんなくて結構ですよ。流石にぼっちは嫌です」
「ふうん」

 会長はつまらなそうに呟く。俺は会長の笑い方を真似して、口角を上げる。

「そう言う会長は? いるんですか?」

 ぴくりと会長の眉が動く。負けじと笑い返して来て、言った。

「いないって言ったら? テメェがダチになってくれんのか」

 俺は不敵な顔を止めて、会長の目を見つめるとにっこり笑う。会長は一瞬だけ動揺したように瞳を揺らす。

「遠慮しときます」
「まあ当然だな――って今のはいって言うところだろ!」

 ばしっと頭を叩かれる。ノリ突っ込みまでできるなんて、凄いな会長。ていうか頭痛い。

「でも会長友達ぐらいいるでしょ?」

 ……。……あれ、返事がない。

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