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 遠くから見ても煌びやかな集団――あれは、生徒会だ。そもそも限られた人しか入れない場所なので、容易に想定できることだ。しかし、俺は本来ここにいていい人間ではないため、見つかるとまずい。あらぬ疑いをかけられそうだ。まあそれは風中先輩たちがなんとかしてくれると思うが、出来る限り迷惑をかけたくないし、何より面倒だ。俺は急いで身を隠した。
 もしかして、生徒会室へ向かうのだろうか。それならば彼らが生徒会室に入ってから、俺も向かうとするか。会長がいれば俺がここにいることを説明できると思うし。庇ってくれるかは分からないけど。俺は一応会長だけ説得することを命じられてるが、この際皆――。
 そこまで考えた時、煌びやかな集団の中心にいる低身長の人物が目に入る。なんだか言っちゃ悪いが、髪が鳥の巣みたいっつーか、もじゃもじゃしてて指が通らなそうな髪だな…。しかも、一人だけ声がでかい。遠くにいる俺でさえ耳を塞ぎたくなるのに、奴らは煩くないのかと思ったが、にこにこしている。そこで中心の人物が誰なのか分かった。あれが台風だ。実際に目にしたことはなかったが……確かに、これは荒れるな。
 家柄や品性、顔を重視するような奴らがどうして転入生を…? と不思議に思う。一体どこに惚れたのだろうか。関わっていないので良く分からない内から判断するのは良くないが、まずあの見た目で生徒会連中が近づくとも思えないし…。謎だ。会長にでも訊いてみようか。

「なあ! 今からどこに行くんだ!?」

 転入生が大きな声で訊ねる。あれ? そういえば転入生を連れてどこへ? まさか部外者を私情で生徒会室へ入れるつもりなのか? いや、俺が言えた話ではないが、風中先輩という後ろ盾があるし…。
 集団は先程よりも近くに来ていたため、会話は聞き取ることができた。優男風のイケメンが答える。多分あれは副会長だ。多分。


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