▼ 21
ところで、俺はいつまでここにいればいいんだろう。確かに居心地はいいが、ここにずっといいたらあそこに戻りたくなくなってしまう。折角慣れたのに。
「あの…俺はいつ戻れば?」
おずおずと訊ねた俺に、龍崎が訝しげな目を向ける。
「何言ってんだテメェ」
「え?」
何言ってんだと言われても。いいところに連れてってやると言われただけで、その後のことはなにも聞いていない。だから分かるわけがない。俺は聡くないのだから。
龍崎は何も答えない俺を見て溜息を吐いた。
「テメェの部屋は今日からここだ」
「へ……ええ!?」
なんだって!?
ぎょっと目を見開く。それに気をよくしたのか、ふ、と笑みを浮かべる龍崎。
「いちいち面倒だからな。――それに」
龍崎の瞳がぎらりと光る。銀の髪を風で揺らす。そして、鬱陶しそうに髪を掻き上げた。その一連の流れが映画のワンシーンのようで、とても美しかった。目を奪われる。
「ここなら、逃げられねえだろ?」
執着の見える言葉と顔に、どきりと胸が高鳴る。俺はいつだって邪魔者扱いだった。母親しか俺のことを見てくれなかった。
しかし龍崎は俺のことを見てくれている。俺を必要としてくれている。
かっと顔が熱くなった。心臓が煩い。
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