20

「あの…おいくつなんでしょう」

 年下だと分かっても、敬語は外せない。俺はペットらしいし、馴れ馴れしく話しかけるなんてできないな。

「幾つだと思う」

 にや、と龍崎が笑う。その顔はとても年下には見えない。

「に、二十二…?」

 二十二なら、まだ納得できる。ぎりぎり年下だし。答えて、龍崎の顔を窺うと、未だに笑っていた。え、どっちだ。あってるのか? 間違っているのか? それとも惜しいのか?
 龍崎は俺の頭に手を乗せると、ぐしゃっと髪を鷲掴む。そして自分の方へ引っ張って俺と龍崎の距離が近くなる。

「俺は老け顔ってことか」

 鼻で笑うと、龍崎は続けて言った。「十九だ」
 一瞬何を言われたのか理解が追いつかず、へ、と間抜けな声が出る。龍崎は楽しそうにニヤニヤと笑っている。十九……って、え? 未成年!?
 龍崎は手を放した。片手には煙草が握られている。これが龍崎を老けさせている要因でもあると思う。サマになっていて格好いいけど。でも未成年の喫煙はいけないが、人を息をするように殺していくこいつらにとっては未成年喫煙なんて可愛いものかもしれない。

「つーか、テメェも二十三には見えねえ」

 俺は何も言い返せなかった。


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