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「庇ってくれなくて良かった」
「え…」
「そう言ってたよ」
にんまりと笑う須藤。どうやら、俺がしたことは羽取にとっては余計なことのようだった。でも、俺は決して羽取のためにやったのではない。俺自身のためにやったのだ。だから羽取がどう感じようと、俺は自分の行為を無駄だとは思わないし後悔もしていない。
その思いを伝えると、須藤は目を一瞬だけ丸くして言った。
「ふうん、そう。じゃあそう伝えとくよ」
それきり黙る須藤。俺も口を閉じたまま。無言で見つめてくる龍崎。再び静まり返る俺の部屋となった牢獄。龍崎は舌を打つと、ぎろりと須藤を睨んだ。
「で、いつまでいるつもりだテメェは」
「いいじゃん、俺、まだここにいたいの」
いたいという風にはあまり見えない。むしろ龍崎をからかうために言っているように見えて!俺目を瞬かせる。龍崎は苛立ったように言葉放つ。
「用件が終わったならさっさと消えやがれ」
「龍崎さん、そんなに武山くんと二人になりたいんだ?」
先程よりからかいの増した言葉と顔付き。うわ、これは龍崎怒るだろうとげんなりする。しかし、予想に反して、龍崎はにやりとして言った。
「ああ、そうだよ」
え、と固まる俺。
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