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「っていうことは、どんだけやっても治り続けるのかな!?」

 突然興奮したように喋りだす須藤。薄い瞼が覆う目はきらきらと輝いていた。俺は思わずぽかんと口を開く。

「それはまだ分からねえ」
「龍崎さん、これ俺にちょうだいよ!」

 玩具を見つけた子どものようだった。急に子どものような目で見つめられた俺は、どうしていいか分からず龍崎を見る。龍崎はこっちを見ていたらしく、視線が合った。

「こいつは俺が拾ったもんだ」
「えー、けち! ばか! あほ!」

 俺はぎょっとする。二人がどんな関係なのか分からないが、流石にここまで言うのはまずいのではないだろうか。しかし龍崎はうるせえという一言だけ発した。俺やほかの奴であれば、黒光りするものが煙を出しているだろう。というか俺はともかくほかの奴はこの世を去っているだろう。

「じゃあちょこちょこ借りるっていうのは? どう?」

 やめてくれ、と心から願う。龍崎だけではなく須藤からも暴力を受け続けるのは、死ぬよりも辛い。先程のように一蹴するのかと思いきや、俺を一瞥した龍崎はにやりと笑う。

「いいぜ」
「やったー!」

 須藤はぐいっと俺に顔を近づける。にいっと笑った口から覗く八重歯が光った。

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