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「おれ、ここに住む」
「……なんで、そんな話に?」

 というか、何で俺に何も言わない。

「隆とずっと一緒がいい」

 ストレートな言葉。真剣な表情。どきりとして、目を逸らす。

「…お前、俺がだめだって言ったらどうするつもりだったんだよ」
「だって、隆、好きって」

 困惑したように俺のことを見る。俺は赤いであろう顔で叫ぶ。

「恋愛感情で好きとは言ってないだろ!」
「……え…」

 小さなつぶやきにハッとして礼二を見ると、絶望したような顔をしていた。すきりと胸が痛む。慌てて否定しようとするも、あの、その、と中々俺の口は言うことを聞かない。

「…だめ?」

 言葉にすることは諦め、ぶんぶんと首を横に振る。すると、ほっとした礼二は笑みを浮かべた。その笑みを見た瞬間、するりと俺の口から言葉が滑り出る。

「礼二のこと、好きだよ」

 あっと思った時にはもう遅かった。言ってしまった。恥ずかしくて、俺は礼二の肩を掴むと、顔を寄せる。

「こ、こういう意味で!」

 顔を逸らす。すぐに反応があると思っていたが、部屋はしんとしている。不安になってちらりと礼二を見遣ると、男前な顔が台無しなくらいぽかんとしていた。俺も一瞬ぽかんとなって、直後に噴き出した。

「…ほんと?」
「……ほんと」

 に、と笑うと、礼二はぐしゃりと顔を歪めて、俺を力強く抱き締めた。そして顔に降ってくるキスの嵐に、犬みたいだな、と顔を緩ませた。












fin.

ワンコ攻め、いかがでしたでしょうか?
ご希望通りの話でしたらいいのですが…!
リクエスト、ありがとうございました!

以下、登場人物紹介です。


隆(たかし)

普通の大学生。
礼二の顔に弱い。

礼二(れいじ)

隆大好き!なワンコ。高校生。
春樹とも仲良くなった。

敦(あつし)

礼二の友達。可愛い。心配性。
春樹と礼二のよき理解者。

春樹(はるき)

礼二のことを慕っている。
礼二が笑顔で話す隆のことが気になっている。

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