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「こういうこと誰にもやってんのか!?」
叫ぶように言ってから、嫌だな、と思った。誰にでもキスなんて、してほしくない。
礼二は首を小さく振って否定した。
「おれ、隆だけ」
「俺だけ…」
「うん、あと、隆が初めて」
「俺が初め……ん!?」
俺が初めて!?
びっくりして目を見開く俺を礼二は不思議そうに見た。
「お前あれがファーストキスだったのかよ!?」
こくりと頷く。まさか、こんな美形の初めての相手が俺みたいなどこにでもいる男だなんて…。
「…なんで、俺だけ?」
どういう意味でキスをしたんだ、お前は。じっと礼二を見つめた。礼二はなんでもないような顔をしてさらっと言う。
「おれ、隆好き」
ストレートな言葉に、心臓が騒ぎ出す。だからどういう意味の好きなんだそれは!? 頭を抱えたい衝動に駆られていると、礼二が蕩けるような笑みを浮かべた。
「キスしたい意味で、好き」
一瞬息の仕方を忘れた。それはつまり、恋愛的な意味で……っていう、ことなのか?
「へ、へえ…そうか」
「うん」
俺はさっと顔を隠した。そうじゃなきゃ、赤くなった顔と、緩んだ口を見られてしまうから。
しばらくして落ち着いた俺は、礼二に放すよう言った。礼二は大人しく俺の体を放し、俺は漸く起き上がって背伸びをした。体が痛い。固い床にずっと寝ていたからだろう。俺の体を抱えていた礼二はもっと痛いんじゃないかと思うんだけど、大丈夫だろうか。
ちらりと礼二を窺うが、表情は特に変化していない。ええ…嘘だろ、何ともないのかこいつ。
「礼二、腹減っただろ。今から飯食って、――で、礼二の話、聞かせてくれよ」
俺の言葉に礼二がこくりと頷いた。
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