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それなりに交際してきた。だからそれなりに経験はあった。でも、それは女性に限ったことだ。べたべたしてくる奴だとは思っていたけど、まさか、こんな…。まさかあいつ俺のこと好きなのか? 俺はどう見たって男だし、男が男にキスをするなんてなかなかできることじゃない。……いやでも、あいつは変わっているからな。
俺は顔に両手をくっつける。顔が熱い。くそ、なんで俺照れてんだよ。あいつが、すげえイケメンだからだ。そのせいだ。
しかし相手が礼二じゃなかったらどれだけイケメンでも、嫌だったかも。俺はぼんやりそう考えて、ハッとして頭を振る。待て待て! 思考がやばい方にいっている!
「礼二の馬鹿野郎!」
俺は叫んで、ごろりと横になった。
あたたかい。俺はぬくもりに身を寄せる。誰かに抱き締められているようだ。誰かに……。ん!?
俺はカッと目を見開く。目の前には規則的に上下するなにか。いや、何かって言うかこれ、完全に胸板だ。礼二の。
抜け出そうとするが、がっしりと腕が背中に回っていて離れることができない。顔を少し上げると、気持ちよさそうに寝ていた。視線が無意識に唇へといく。先程のキスを思い出し、かっと顔が火照った。
――って、なんで、礼二がここに。出て行ったんじゃないのか。ていうか、今何時だ。俺はどれくらい寝ていたんだろう。首を動かして掛け時計を見ようとしたが、無理だった。首が痛くなっただけだった。
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