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しかしそれがいけなかったのか、不良の一人が俺を捉えて睨む。
「テメェ何だその目は!」
びくりと体が震える。男は今にも殴りかかってきそうだ。横で舌打ちの音が聞こえ、金山を見るとさらに面倒臭そうな顔をしていた。でも、俺を隠すように前に出てくれたので、一応俺を守ってくれるらしい。……俺が邪魔だっただけかもしれないけど。
まあ金山ならさくっと終わらせるだろうと一歩下がって見守る体制に入った時だった。後ろから、声が聞こえた。
「うわ…喧嘩?」
「怖…早く行こうよ」
「目合ったら殺されそう」
ハッとする。ここでやりあってもし警察とか呼ばれたら…。それに、やっぱり、俺は人の目が気になる!
「金山!」
「――あ?」
俺は金山の腕を掴むと、ぐいっと引っ張った。いつもだったらきっと動じなかったと思うが、突然のことで驚いたのか、体が傾いた。俺はそのままぐいぐいと引っ張る。
「おい、テメ…ッ」
「走れ!」
ぴくりと腕が反応する。振り払われると思ったが、意外にも金山は俺の言うことに従ってくれた。そして次の瞬間には金山が引っ張り、俺が引っ張れる側になっていた。
「おい! ふざけんな逃げんじゃねえ!」
後ろでぎゃあぎゃあと騒いでいる奴らだったが、追ってはこなかった。リーダー格の男を放置していけなかったんだろう。良かった、追いかけられたらやばかった。…俺の体力的な意味で。
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