12

 ワッフルを食べ終えた俺たちは、暫く無言で向き合っていた。

「出るぞ」

 金山のこの一言に頷き、立ち上がってレジへ向かう。無意識に金山の分も出していると、げしっと脚を蹴られて出した金を財布に戻された。しかしそこで俺の分は残しておくあたりやっぱり金山は金山だ。それでも今までのことを考えると成長したなって思うけど。ていうか、金山が全額出そうとしていたら俺が止めてたな。奢ってもらうのは悪いし。
 店を出ると、再び目的もなく歩き出す。もうちょっと行く場所考えてくればよかったな。ぼんやり歩いていると、いきなり目の前に人が現れて慌てて立ち止まる。いかにもな感じの男が数人。どう考えても、こいつらの目的は金山だろう。ちらりと横目で金山の様子を窺うと、面倒臭そうに男たちを見ていた。厳つい顔をして体格もいいのにこのふてぶてしさ。隣に金山がいる安心感やばいな。

「金山…漸く見つけたぜ」

 リーダーっぽい男がギラギラした目で金山を捉える。勿論俺は蚊帳の外だ。多分存在すら気づかれていない。

「ウゼエな、退けよ」
「退かねえよ。今日こそはテメェをつぶゴファ!?」
「にっ西さん!」

 「西さんがふっとんだ!」西とやらの取り巻きたちがぎゃーぎゃーと騒ぎ出す。金山流石だ。手が早いな…。俺は西を憐れみを込めた目で見つめる。


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