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 あの足で踏む某ゲームを終え、俺は息を吐いて額を拭う。先程のように悲惨な結果には終わらなくて、結構満足だ。次は金山がやるんだろうと奴の方を向くと、何故か目を見開いた。こっちを凝視しているのを見て、俺は自分がだらしない顔をしていることに気がついた。羞恥で顔が熱くなる。顔を逸らそうとしたが、がっと頭を掴まれ、ぐいっと金山の方を向かされる。

「な…」

 言葉は、金山の薄い唇に吸い込まれた。今度は俺が目を見開き、硬直する番だった。突然のキスにより更に顔に熱が集まった。金山の顔はすぐに離れていき、ぼおっとそれを眺めていた俺はここがどこなのかを思い出し、声にならない悲鳴を出した。慌てて周囲を確認するが、幸い誰もいなかった。思わず咎めるように金山を見るが、素知らぬ顔でゲームを見ていた。

「こ、こんな公共の場でするなんて…」

 ぽつりと呟く。金山はちらりと俺を見た。一瞬だけ意外なものを見るような顔で、そしてにやりとあくどい顔で笑う。
 何だ? と思って、はっと口を押さえる。待て待て。公共の場でって……まるで、他の場所でならしてもいいみたいな…。

「…おい、まだやりてえもんあるか」
「へっ!? い、いや、特には…」
「じゃあ出んぞ」

 そう言うなり俺の腕を掴んで歩き出す。
 結局ちょっとしかやらなかったな…。いや別にいいんだけど、これからどうすればいいんだろ…。






















「テメェのその敬語、いい加減なんとかなんねえのかよ」

 ゲーセンを出てから目的地もなくフラフラ歩いている時、突然金山が話し出す。確かに同級生、しかも一応恋人という関係にあるため、敬語というのはおかしいかもしれないが…。今更敬語を取れと言われても何だかな…。
 微妙な顔をしていると、金山が苛立ったように目を細める。鋭い目で睨めつけられ、ひくりと口が引き攣る。

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