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 画面を見ていた金山は俺の視線に気づくと、バツが悪そうな顔をして首の裏を掻いた。そしてどかりと隣に座る。今度は金山がやるのかと急いで財布から金を出そうとするが、金山はこっちを一瞥しただけで、自分の財布から百円玉を取り出し、差込口に押し込んだ。俺は百円玉を掌に乗せたまま金山を見つめる。……当たり前のことなのに、何だか感動だ。俺は緩みそうになる口を抑えながら財布に金を戻す。
 金山は俺のプレイを見て少し学習していたのか、俺がしたミスのようなものはなかった。しかし動きは俺が見て分かるくらい初心者のもので少し安心する。なんでもそつなくこなしそうな金山が普通だと、親近感が湧く。
 時折事故を起こしては顔を凶悪にしていた金山だったが、結果はまあ普通。でも確実に俺よりはセンスがある。というか最初でこれは凄いんじゃないかと思う。

「…ふん」

 金山は興味なさそうにリザルト画面を眺め、立ち上がる。俺も続いて立ち上がれば、また腕を掴まれて引っ張られた。

















 次は音ゲーのコーナーだった。あ。あの床を踏むやつはやったことがある。結構体力を使うんだよな。
 丸いボタンを押すゲームをしている人の横にいた男がぎょっとした顔でこっちを見る。見る見るうちにその顔は青ざめ、腕を掴まれている俺を同情の目で一瞥した。プレイヤーの肩を数回叩き、何かを耳打ちすると、プレイヤーがぎくしゃくした動きで振り返った。そしてゲームの途中だというのに傍らの鞄を素早い動作で手に取ってささささーと違うところへ行ってしまった。他のゲームをやっていた人たちも同じように去っていく。……デジャヴを感じるんだけど。
 俺は金山を見上げた。金山はじっと見つめる。そして横目で俺を見て、再び顎をしゃくった。

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