3

「まさか、テメェ」

 あいつに余計なこと言ったんじゃねえのか。俺は疑いの眼でクソ野郎を睨む。すると奴は首を振った。「達也は感づいていたよ」
 
「俺が言う前にね」

 って、やっぱり言ってんじゃねーか!

「でも、君の態度とか発言で、疑ってるんだよな」

 それは、パシリだと言ったり、普通にパシらせているからなんだろうな。気まずくなって首の後ろをがりがりと掻く。

「俺としてはさあ、二人にくっついてほしいなって思ってるわけ」
「別に俺は…」

 あいつとどうなるとか、どうでもいい。こんな気持ち、一時の気の迷いだ。高校までの付き合いだしな。あいつが女だったらまた違っただろうが、男だし、すげー魅力的な奴でもねえし。
 大体、あいつが俺のことを嫌うことはあっても、好きになることはねえ。

「達也が君のこと好きでも?」
「……はあ? ねえだろ」

 あり得ねえよ。どうせ適当に言ってんだろ、こいつ。そんなんで騙されると思ってんのか?

「まあ本人も否定してたけど。君のこと凄く意識してたよ」

 俺はあいつの姿を頭に浮かべる。特に変わったようなところはなかったように感じる。やっぱり、こいつがでたらめを言っているようにしか思えない。

[ prev / next ]



[back]