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「金山の気持ちを知って、で、どうすんの?」
「…ど、どうもしない」
「じゃ、知らなくていいんじゃねえ? 知ってもどうもしないなら」

 「すみません、水」山口は手を挙げる。近くにいたウェイトレスがすぐにやってきて、水を注ぐ。にこりと山口が笑えば、ウェイトレスは白い頬を赤く染めた。そして俺のたっぷり入った水と俺を一瞥して、笑顔を浮かべると一礼して去って行った。……これが顔面格差社会か。微妙な顔をする俺。「まあ、世の中顔じゃないって。君には金山がいるじゃん」山口はけらけらと笑いながら言う。やかましいわ! 

「…金山がいるって、だから金山は俺のこと別に好きじゃないかもしれないじゃないか。…俺さ、知ってもどうもしないけど、気になるんだ」
「うーん…じゃ、俺が訊こうか?」
「えっ」

 山口は名案だとでも言うように、掌を合わせた。いやいやいや、何言ってんの!?

「俺の話ちゃんと聞いてくれるかは分かんねーけど。正直に答えてくれるのかもな」

 頭に凄く嫌そうな顔をして山口を見て、無視して去っていく様子が思い浮かんだ。ちゃんと話を聞くのも、正直に答えるのも、どっちもしないと思う俺は。

「ま、俺に任せてくれって」
「……頼むからボコられる前に逃げろよ」
「大丈夫大丈夫」

 にこりと自信満々に笑う山口。俺の所為でボコボコになって帰って来たらどうしよう…。

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