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「いいと思うよ俺は」
「いやいいと思うって…違うから!」
思いのほか大きな声が出てしまい、周りの人が何事かとこっちを見る。顔が熱くなり、俺は俯きながら謝罪をする。山口の顔を見ていないが、きっと愉快そうな笑みを浮かべているんだろうなと思った。
「金山は君には結構優しいと思うし、付き合ってみたらいいじゃん」
「……いや、あの、そう言うけど、そんな簡単なもんじゃないだろ」
第一、男だ。それを分かっているのか、こいつは?
俺がそう言うと、山口は今気付いたかのように、ああ、と声を出す。
「男だと嫌?」
「…嫌っていうか」
偏見があるわけじゃない。でも、はっきり嫌だと言ってしまうと、そういう風に捉えられそうで、俺は口を噤んだ。
「ま、抵抗あるんなら仕方ないけどさ」
山口はそう言いながら、水の入ったコップを揺らす。先程入れてもらったというのに、もうほとんど入っていない。。
「君はさ、どうしたいわけ?」
「え」
どうしたいか? ……俺は、どうしたいんだろう。答えられずに、じっとテーブルを見つめる。
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