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「それを知りたいのは…山口と話すなって言った時の理由と、同じですか」

 自分の手元を見て、ぼそぼそと呟くように言葉を発する。数秒間が空いたあと、金山は言った。

「…そうだ」















「なんか、ややこしいことになってんなあ」

 「あ、すみません、水のおかわりください」向かいの山口が手を挙げ、ウェイターに声をかけた。俺は新しい水を入れてもらうため、少しだけ残っていた水を飲んだ。
 あの後、授業が始まったのと同時に金山は教室から出て行ってしまった。しっかり鞄を持っていっていたから、きっと帰ったんだろう。金山のことで相談できるのも、友達も悲しいことにこいつしかいないので。山口に連絡して相談することにしたのだ。
 山口に連れて来られたのはファミレスだった。何気に学校帰りに寄り道をしたのは初めてだ。中学校は寄り道禁止で厳しかったし、高校は友達できないし…。
 ウェイターが水を入れるのをじっと見て、ありがとうございますと頭を少しだけ下げる。ウェイターはしっかりと頭を下げ、ごゆっくりどうぞと言うと、背筋をぴんと伸ばして去っていく。俺はそれを見届けてから向き直った。

「もう金山が何考えてんのか分かんない…。俺のこと、やっぱりただのパシリって思ってんのかな」
「んー…」
「授業中も金山のことばっかり考えて集中できないし…」
「君さ」
「え?」

 俺の言葉を遮って、山口は水を一口飲むと、頬杖を付いた。口が弧を描く。

「好きなんじゃねえの、金山のこと」

 山口が爆弾を投下した。俺は口をあんぐりと開けた。

「い…いやいやいや、あり得ないだろ」
「あり得るあり得る」

 山口はけらけらと笑いながら言った。こいつ面白がってないか!?


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