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会計を済ませ、早歩きで廊下を進む。俺は、山口に話しかけられる前に口を開く。
「…なんで、あんなことを?」
「ん?」
「金山を怒らせて楽しんでただろ」
「ああ、うん」
山口は頷いて、少し首を傾けて笑った。
「なんでって、今君が言った通りだよ」
「楽しいからやった、ってこと?」
「そうそう」
なんて奴だ。俺は胡乱な目で山口を見る。
「いつか痛い目を見るぞ」
「そうかもね」
「そうかもねって…」
「いいんだよ、今が楽しかったら、それで」
楽しそうに話す山口は、ていうか、と言葉を続ける。
「金山に関しては、君がいるから大丈夫だと思うけど」
「……俺?」
首を傾げると、山口は目を丸くして、一度瞬かせた。
「…あれ、金山から何も言われてない?」
「いや、山口と喋るなって――」
あれ!? 今気づいたけど俺普通に山口と喋っちゃってる! これ金山に見られたらヤバい!
頭を抱える俺を見て、山口が口角を上げる。
「俺と喋るなって? ふうん。……あとは?」
俺は口を閉じたまま首を振る。喋ってはいけないんだ。許してくれ。そう思っていたら、にこりと微笑んだ山口に頬を思いっきり抓られた。
「いでででででで!」
「あとは?」
「話ふ! 話ふからはなへ!」
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