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屋上へと上がる階段まで来ると、金山は俺を壁へ突き飛ばした。背中を打ち、顔を歪めていると、顔の横にどん、と手を置いた。これは今流行りの壁ドンというやつではないか。女性はどうしてこれに萌えられるんだ。恐怖でしかないんだけど!
「っクソ、なんだっつーんだよ…!」
ひいいい! 怖い! つーかそれ俺の台詞!
山口に対して相当イラついているのは分かっているが、普段の金山ならあの場で殴りかかっていたはずだ。俺がここにいる理由も分からないし。この壁ドンされている状態も訳分からないし。
「なんで、この俺がテメェなんかに…」
悔しそうな顔で呟く。その声は、弱々しかった。俺が金山をこんな状態にさせているということに驚きを隠せない。
先程の山口の言葉が頭に浮かぶ。
『すぐ暴力に走る奴は嫌われるぜ? 嫉妬深い奴もな』
だから、山口を殴らなかった? ……いや、まさかな。この前キスされたけどあれは一時の気の迷いというかなんというか、とにかく深い意味はなかったと思うし、今日はたまたま山口を殴らなかっただけだ。そう思いたい!
「あのクソ野郎と、もう話すんじゃねえ」
「えっ…」
なんか束縛の強い彼氏みたいなこと言い出したぞ!? そういうのは女の子彼女に言ってください!
漸く友達ができたというのに、話すなだなんて。
「え、て何だよ」
「り、理由は…?」
「理由?」
くい、と器用に片眉を上げる。俺は恐る恐る頷いた。
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